イリミネーター 五条麻貴編


1、
 
闇が濃い。
大都会を名乗るだけあって、東京の夜は人工の星に彩られる。白や黄色やピンクや・・・残業
の倦怠感もアルコールの臭いも帰路の道標も明日に備える機械たちも、全てが光に包まれ
る。うっすらと眼を開けた時に、脳に視覚されるアノぼやけた風景・・・・あれに都会の夜景は似
ている。ふと彼女はそんなことを思ってみた。そして、それを嫌いでもない自分がいるのも知っ
ている。
しかし、彼女には解消しなければいけない、問題があった。
きらびやかなはずのネオンは、彼女には暗く翳って見える。
水墨画のフィルターを一枚重ねた感じ。
その墨の濃淡は均一ではない、故意に誰かが油絵のように塗りたくったり、そうでなかったりし
ている。
誰が?芸術家が?・・・・・・・冗談じゃない!!
ツーリストワゴンの窓に、蝋人形のような白い顔が写っている。少女のような可憐さと、大人の
オンナの妖艶さ、両方兼ね備えた美貌だ。程よい色の茶髪が、レッスン後のため左右均等に
分けられ束ねられている。深い井戸の底を見据えるような、蒼い瞳が語りかけてくる。
《あんたの仕事だよ》
・・・わかってるよ!ッッるさいなァッ!!
「どうした?なんか機嫌わるいねェ?メンバーと喧嘩でもした?」
「あ、いえ・・・・何でもないです!・・・ア、今宮さん、ここで・・・・・ここでいいです、降ろしてくださ
い」
「ええッ?!こんなとこで?キミの家、まだ先じゃない?!」
彼女を家まで送る使命を帯びた運転手兼マネージャーが、心配と驚きの混ざった声をあげる。
高層ビル群から一本ずれた裏通り。100Mほど離れただけで、人影がほとんどなくなる場所。
定距離に置かれた街灯が青い円をアスファルトに描いている。吹く風すら、鋭利な刃物を含ん
だ冷たさをもつようになったようだ。
「ちょっと友達と待ち合わせてるんで・・・・・」
「ホントに大丈夫?まあ、ファンに見つかる心配はないだろうけどね、この人気の無さだったら」
「大丈夫ですよ・・・・・じゃあ!」
元気良く、彼女はワゴンの後部座席のドアを閉めた。それが合図と車は走り去る。
「さて・・・・・・と」
白のキュロットに、グレーのフード付きトレーナーといったラフな格好の彼女は振りかえる。
墨のもっとも濃い場所。
熱帯雨林の空気のように、べっとりと闇がまとわりつく。湿気を帯びすぎ呼吸しずらいような。
人ひとりおらず、彼女の影だけが淡く、幅10mほどの道路に伸びる。満月がビルの片隅に隠
れ、黄色いカーテンで周囲を覆ってくれる。高層ビルが背景にある以外は・・・どこにでもある街
の通り。
「襲うにはもってこいの状況なんじゃない?」
上空―――月に向かって彼女の澄んだ声が飛ぶ。
大きな満月。
それを背後に、ビルのてっぺん――缶コーヒーの広告看板が夜に浮かぶ場所に立つ影。
「・・・さすがだなァ〜・・・・・テレビで初めて見た時から、《食いたい》と思っていたよ・・・」
墨を発生させている張本人の声が届く。
「・・・その登場の仕方、カッコ悪いから早く降りてきたら?」
「フフフ・・・では・・・・・いくぞ!五条麻貴!!」
影――男がビルから飛び降りた。
何十階という高層ビルの、屋上から。
驚くべき事態の前に、しかし、端正な顔を持つ少女は眉一つ動かさない。
地球に引っ張られ、肉の弾丸が一直線にTVでお馴染みの少女―――麻貴に向かう。
加速のついた人型ミサイル、風すら切り裂くスピードのそれを、麻貴はニ回転の後方宙返りで
避ける。
ブラウン管を通じ、多くの人々がアイドルグループの一員として踊る彼女の姿は見たろうが、こ
こまでの身のこなしができるとは思うまい。
降ってきたミサイルは・・・そこで爆発しなかった。
ビルからのダイブは自殺にならず、机の上からでも飛び降りたように、影は平然とそこに存在
していた。
ニヤリと笑って立ち尽くす。
全身黒づくめの男。年の頃・40。オールバック。裸眼。
何十メートルという高さから飛び降りて平気な体は、人間と呼ぶのには抵抗がある。
だが、その異常を前にして、麻貴に恐れはない。
どころか・・・・・
「ッッ?!!・・・・・ただのアイドルではない、ということかな?」
「・・・オジさんがただのヒトじゃないのと一緒」
「まさか、身構えるとはな。しかもサマになっておる。トップアイドル・五条麻貴は仮の姿だったら
しい・・・」
両の掌を前方に向け、左斜めに体を開いて立つ。腰を落とし、やや前傾姿勢となったその構え
は、武道家としてのそれに近い。
「その言い方、シャク。アイドルが本業なんだけど」
「ククク・・・やけに冷静なわけがわかった。だが、何ができるのか知らんが、逆に悲しくなるだ
けだ」
無表情といっても言いくらいの醒めた瞳を、麻貴は黒い男に向ける。
時として"タカピー"に写るその冷静さは、ネットの掲示板などでは叩かれていたりもしたが・・・
麻貴にとっては必要なことでもあった。
「強気だね。でも、やめた方がいいよ。どうせ私を襲いたいってくだらない目的なんでしょ?」
「そうだな・・・泣かして、喚かせて、穴という穴を犯して・・・奴隷として屈服するまで、嬲り尽くす
つもりだ」
「わあ・・・・・スゴイ下衆。ちょっと痛い目見せた方がいいかもしれないけど・・・今黙って帰るな
ら、見逃してあげる」
「それは忠告かね?」
「そうよ」
麻貴がスッと右手を挙げる。
その手に収められたモノ・・・それは、世に言う警察手帳に似ていたが、星が黄色ではなく赤に
なっている。
「!!!・・・・・そうか、なるほどな・・・キサマ、『イリミネーター』だったのか!」
「そーゆーこと。あんた、『淫魔』でしょ?このまま帰らないってなると、排除することになるわ。」
淡々とした麻貴の声は、事務的であるがゆえに冷徹に響く。
また、冷徹にさせるだけの意味がその手帳には込められていた。
男は・・・・・動かない。数瞬。そして・・・・
男の目尻が下がる。
唇が吊り上がる。
ニタ〜リ
三日月三つで描ける笑い。凶凶しい笑い。
麻貴の背中にビクンと日本刀が斬りつけられる。
「・・・・・ィィッッ・・こう・・・・だァァッ・・・・・」
「・・・???・・・・」
「最ッッ高ゥッッの獲物だよ、お前はァァ・・・・・五条麻貴!!その思いあがった根性、よくぞ育
てた!褒美に奈落に落としてくれよう!!!」
血走った男の眼が、紅く光る!
くるッッッ!!!
血が巡る、鼓動が高鳴る、神経が研ぎ澄まされる、五条麻貴・戦闘態勢完了!
錯覚か、闘気のなせる技か、男がぶれる。
・・・がッ・・・来ない??!
いや・・・・・・・・・・・・・
「足がないッッッ??!!!」
真夏日のソフトクリームのように、男の足はドロドロに溶けている!
ゲル状になった男の下半身が、海に流れ出た重油の如く麻貴の足元まで垂れ流れ・・・・・
気が付けば、少女はドロ沼の中、孤島のように囲まれている。
「こいつ・・・・ドロ人間なのッッ?!!」
「得てして、事態は終わった頃に気付くものなり」
四方を囲んだ黒いドロが、さざ波を起こして膨れ上がるや、竹林が生えるが如きに、数十本の
槍となって、少女を襲う!
「なにィッッ!!」
声をあげたのは・・・・・男の方。
麻貴が動く。後ろに避けない、前に殺到する!
麻貴の脚力が、ドロの槍の突き出されるスピードを凌駕する。
7mを、砂塵を撒いて、一気に詰める。
男の目の前に、麻貴。月のような冷たく静かな視線。
手の平を向けた右ストレート!いわゆる掌底突きが、腰からの回転運動を伝達させて、渦を巻
いて男に伸びる。
正中線に放たれたブローを、体を捻って男はポイントをずらす。
左肩に当たる麻貴の右の突き。そこは人体構造上、急所に成り得ない場所・・・・・
 
ボンッッッ!!!!!
 
爆発音とともに、男の黒い左肩から先は、粉末となって飛び散っていた。
「UUGGGGWWWWUUOOOーーーーッッ!!!」
猛獣の叫びが轟く!無敵と信じた己の肉体への餞だったか。
麻貴が、微笑む。――SO COOL.残酷さが氷の美しさを彼女に与える。
『イリミネーター』=『排除する者』としての美しさ。
「・・・これが私の【ちから】よ」
 
"超震動"・・・・・・それが五条麻貴を『イリミネーター』たらしめている異能力であった。
物心ついた時から、彼女は他の人にはない能力が、自分にはあることに気付いていた。
世間一般に言うところの超能力という奴だ。
その能力を、実用化・戦闘化したものがこの【ちから】である。
彼女は手の平に触れるモノに通常認識のレベルを越えた震動を与え、分子レベルから破壊を
する。
それが鉱物であろうと、生物であろうと・・・ドロであろうと。
 
「・・・・・それがお前の【ちから】かァァッッッ!!!」
男は終わっていなかった。
残る右腕が、大振りのフックとなって麻貴の左側頭部を狙い撃つ。
咄嗟の出来事だった。
男の反撃は、麻貴の予想より、コンマ何秒速かった。
そのコンマ何秒の差が、麻貴に不用意な防御をさせた。
拳を握り、腕を鉤状の形で上げて、降りかかる右のパンチをガードする。
本来なら、尋常ならざるスピードで襲いかかるそれを、受けただけでも称賛に値するやも知れ
ぬ。
だが、握った拳からは"超震動"は放てない。
そして、男はドロの体を持った、人外のモノ―――・・・・
男の右腕の、ガードして受けた箇所より先の部分が、ドロと化してなだれ込む!
(!!・・・しまった!!!)
ビチャリッ・・・と黒い粘着物が、麻貴の白い素肌に掛けられる。
「うああッッ!!」
潤いを含んだ大きな瞳に、ドロが直撃する!視界を奪われ、不意の痛みに襲われて、思わず
麻貴は、両手で顔を覆い、スタイルのいいその肢体を、くの字に折り曲げて悶絶する。
視界を失った人間の取る行動は、逃げるというベクトルに向かう。超能力を持つ麻貴といえ
ど、例外ではない。
混乱に陥りながらも、本能が、その場所からの退避をさせる。
(キョ・・・・キョリを取らなきゃッ!!)
眼に入るドロを拭いながら、後退さる少女戦士。
「・・・はッッ!!!」
動けなかった。
ドロの目潰しによって、霞む視界の中、麻貴は粘液状と化した敵が、己の下半身に絡みつくの
を認めた。
「ちょ・・・・超震動・・・・・・・」
掌をドロに向ける・・・・・できない。
這いずり上がったドロが上半身にまで絡み付き、身体の自由をほぼ奪われてしまっていた。
「うッ!・・・ううッッ!!・・・・・・くッ!・・・・」
噴き出した汗が、アゴの先端から落ちる。一滴、二滴・・・・・
僅かに動く体で懸命に抵抗する麻貴。目潰しで汚されたその視線が足元に溜まったドロを見つ
める。
肩幅くらいに開いた股の真下―――そこに蠢くドロ粘土。
(ま・・・・・まさか・・・・・・・!!!)
激しく体を動かす麻貴。だが、掌は、ドロの形をした敵に、あと数十センチ届かない。
「クックックックッ、どうやら気付いたようだな?五条麻貴」
密着したドロの中から声が響く。声のした周辺の部分が丸くなり、スイカくらいの大きさになっ
て、麻貴の顔のすぐ後ろに現れる。
「さぁ、トドメの時間が近づいてきたぞ。お前の負けだ!」
「くうッッ!・・・・くッッ!!・・・・・うくくッッ!!・・・・・」
ドロのスイカが人間の顔になって笑う。これから襲ってくる悪夢を振り払うように、激しくかぶり
を振る五条麻貴。眉を寄せる。唇を噛む。汗が飛び散る。・・・それらを嘲笑うかのように、足元
のドロが沸騰したミルクのように波立つ。心なしか、ジリジリと両足が開けられる感覚。
「・・・ウ・・・・ウソ・・・・・・・・・」
(やめろ・・・・やめろ・・・・・やめろォォーーーッッ!!!)
「ククク・・・もう一度、言っておこう、麻貴くん。得てして、事態とは終わった頃に気付くモノなの
だよ・・・」
 
ドシュウウウッッッ!!!!!
 
足元のドロから黒い槍が、閃光のように麻貴のもっとも大事な秘所を貫く!!
「うわあああああああーーーーーーッッッッ!!!!!」
16歳の少女の絶叫が、人通りのない路上に木霊する。
「ワーッハッハッハッハッ!!ショーはこれからがお楽しみだ!《食らい》尽くしてくれよう、五条
麻貴ッ!!!」
処刑執行の宣告を、麻貴は自らの悲鳴の中、どこか遠くに聞いていた・・・・・・・・・・・
 


2、
 
黒いドロが四肢に絡み付いている。丁度コブラツイストを掛けられたような感じだ。
下腹部にある秘密の花園より伸びたドロの棒・・・そこから与えられる刺激を逃れようと、必死
に体を揺り動かす麻貴。女子高生でもある少女の力では、大の男の腕力に屈せざるを得な
い。脱出は叶わず、刺激を甘受し続けるしか、なかった。
麻貴は知っていた。自分の秘所を掻き乱すドロの棒が、男のペニスであることを。つまり、彼女
は犯されている最中なのだ。
(く、くそォォッッ!・・・・・こんな・・・こんな奴に・・・・・・・)
大きな白い歯が、潤った唇を噛む。血が滲むほどに。
「フハハハハ!この時がくるを長〜い間、待っていたのだ。アイドルのお前を、貪り《食う》のを
なぁ!!しかも、我ら『淫魔』の宿敵である『イリミネーター』だったとは・・・・・極厚のステーキに
最上のタレがかかったようなもの・・・」
槍となって麻貴を貫いたドロは、膣の奥深くにまで侵入している。麻貴を味わうかのように、じっ
くりとそれは蠢く。生暖かく、ドロに混じった大小様々な粒子が、ビラビラの襞を適度に刺激す
る。痺れる感覚。熱を帯びる下腹部。
(ん・・・・・くッ・・・・・)
ドロが秘密の園を、グチャグチャに掻き乱していく。子宮内いっぱいに広がったドロが激流とな
って、襞の全て、あらゆる性感帯のツボを摩擦する。時に速く・・・・時に緩やかに・・・・・単調に
ならないリズムが、常に新鮮な刺激を麻貴に与え続ける。異物の入った不快感・圧迫感と、痺
れるような電気信号が、脳髄に駆け登る。
(お・・おなかが・・・・・・・メチャメチャにされちゃう〜〜・・・・)
身体の中で最も敏感な小さな豆がドロにこねられるごとに、腰が麻貴の意志に反して痙攣す
る。この世に生まれて16年、初めての刺激に脳細胞がパニックを起こしかけている。
(な・・何?!この感覚・・・・・・凄く嫌なのに・・・・・・やめて欲しく・・・・ない・・・・・・・・)
それがDNAに記憶された快感であることを、どこかで麻貴は悟っていた。そして、それに身を
委ねてはいけないことも。
(声をあげちゃダメだ・・・・・絶対・・・・・)
声をあげれば、カサにかかって攻撃が激しくなる。それが理論的な理由。あと、感覚的に負け
を認めるような気がする・・・
大の字の姿勢で立たされている麻貴。その俯いた顔は、内の興奮を隠すべく、醒めた表情を
覗かせている。絶対に屈しないという覚悟の表れが、そこにあった。
だが・・・・・・・・
「ククク・・・・我慢しているようだな。無駄なことを・・・・」
腰の痙攣が全身にまで広がってしまっていた。小刻みに震える細身の体躯。頬がうっすら桜色
に蒸気している。
「気の強い女よ、それでこそ『イリミネーター』。嬲りがいがあるというものだ」
ドリュウウウッッ・・・・・
ドロがトレーナーの胸元から侵入する。
よっぽど密閉された服でない限り、液体の侵入は防げないが、麻貴は空間にゆとりのある服を
着ていたことを悔やむ。
形の良い二つの肉の丘を、ドロが渦を巻きながら、柔らかく包んでいく・・・・・・・
子供がオモチャを壊す時の扱いに似て、メチャメチャに球体が押し潰され、捻られ、こねられ、
廻され、引っ張られ、握り潰されて・・・・・・その動作は、まさに揉みしだく、という言い方がピッタ
リするもの。
顔を左に背ける麻貴。不良っぽい子がスネているようにも見える。実際は、物体として弄ばれ
ている己の乳房を、見つめることが出来なかったが故。
「クワハハハ!少し固いが・・・大きさ・形とも良いオッパイをしているじゃあないか、五条麻貴!
これはもう、オレのものだぞおォォォ!そーーら、乳首も立ってきた!」
流動体が白い肉丘の突起物をこねくり回す。クリクリクリ・・・と。
つまみ、引っ張りあげ、こねる。それが、続く。
麻貴のピンク色の先端が、コチコチに固くなっているのがわかる。
(あ・・・・あ・・・・・感じちゃって・・・・・・・る・・・・・・・)
痛いまでに固くなる乳首。トレーナーの上からでも浮かび上がる。
「黙っていても感じているんだろう?こんなに乳首を立たせて・・・ククク・・・」
(く・・・・・・悔しいよォ・・・・・・で、でも・・・・・・)
「・・・・・・・・・・・」
口を開けたら、叫んでしまいそうだった。
「本能というものは、正直よ・・・下のおクチも、ヨダレを垂らし始めたぞ」
膣内をめぐるドロの粒子は、麻貴の愛液を大量に分泌させていた。
ピチャ・・・ピチャ・・・ピチャ・・・・・・
「聞こえるか?お前の中の女が喜んでおるわ」
太股を流れるものがある・・・・ドロではない、透明な官能の涙。
(あ・・・・ああァ〜・・・・・我慢・・できない・・・・・私・・反応しちゃってる・・・・・・こ、このままじゃ
ァ・・・・・・・)
不意に両の乳首と、クリトリスがつまんで折られる。
「あふうぅぅッッ!!・・・・・・」
ビクンッッ!!!・・・・・・・・
思わず声が洩れる。
痛みによる悲鳴だけでなく、別の響きが入ってしまっている。
眉がひそみ、顔が仰け反る。
こんな声が出るなんて・・・・・
「澄ました顔をしてみても、疼きは抑えられなくなってきたな・・・」
愉快げに男が笑う。あの三日月の笑み。
「・・・負けるか・・・・・・・」
「何?!」
「お前なんかに・・・・・・・負ける・・・かァッ!!・・・・」
噛み締める奥歯が、ギリギリと鳴く。
「ワハハハハハ!本当に最高ッッの獲物だよ、お前はッ!この能力を与えてくれた神に・・・い
や、悪魔に感謝せねばな!」
ドロがきめの細かい麻貴の肌を、這いずる。ピチャピチャと音を立てる秘所。形を変えていく双
丘。
「私の自己紹介がまだだったねえ。名はヒラタ。つい最近だよ、係長になったのは。今の会社
に入って20年、無遅刻・無欠勤が私の勲章だよ・・・」
ナメクジが背中を這い回る。性感帯を探られ、その電気信号によりビクビクと麻貴は震える。
「退屈な人生だった・・・真面目に生き、そして死んでいくよりも、どんな悪行でもいい、自分のや
りたいことをやって、生きた証を創りたい・・・・そう思うようになった。気が付いたときには、『奴
ら』が私の中に居たよ」
ピンクの蕾がシュルシュルと、捏ね繰り回される。摩擦係数のすくないドロのため、激しく擦ら
れても痛みは無く、快感だけが積み重なっていく。
『淫魔』・・・・・・・その存在は、防衛庁でもトップ・シークレットとされ、ごく一部の高官のみにし
か、知らされていない。
異次元生命体である彼らは、時空のひずみなどにより、この世界にまれに現れるが、環境の
違いからその肉体は存在できず、精神のみが器を求めて彷徨うことになる。
『淫魔』の本質は残虐・冷酷・そして、その名の示す通り、女性の陵辱を好む。よって、彼らが
憑依するのは似た性質をもつ人間が、その大多数となる。器となった者は、さらに残虐性が増
し、個人差もあるが、おおよそ人間らしからぬ倫理観の持ち主となる。また、『淫魔』の異能力
も身につけるため、実に危険な存在と言えた。
その『淫魔』を闇の内に退治するのが、『イリミネーター』と呼ばれる超能力者集団である。
『淫魔』に対しては、抹殺することを許可された、超法規的な存在。『淫魔』にとっては、天敵と
もいえるだろう。
だが、一方で、『淫魔』は『イリミネーター』を陵辱することに、もっとも興奮を覚えるとも言われ
ていた。
「初めてテレビで見た時から、お前をボロボロにすることを夢見ていた。体が疼く度、女どもを
《食い》尽くしては、欲求を抑えていたよ・・・」
嘲笑が耳元で響く。
(・・・・私のせいで、女の子たちが、こいつの犠牲に・・・・・・)
桜色の頬が、今までとは別のファクトにより紅くなる。
炎のような怒りが、沸騰するのを麻貴は感じていた。
「・・・・・つまんない・・・・・・」
「・・・・??」
「つまんないよ、あんた。生きた証、とか偉そうなこと言って・・・・結局やってるのは、ただ女の
子を襲ってるだけじゃない。・・・・バカみたい・・・」
丘の先端と、下の繁みの中の蕾が締めつけられる。右に左に、不規則に折り曲げられる。
「・・・・くッ!・・・・・ううッッ!・・・・・・・」
「・・・フン・・・・・お前のように、キャアキャアと騒がれているアイドル様には、オレの気持ちなど
わかるはずがないわ!」
ギュルルルルルッッ!!!
繁みの奥で、ドロがドリルのように回転する!
下腹部に広がる熱さ。痺れ。・・・快感。
鼓動がはやなり、内圧が高まっていく。何かが爆発しようとしている。
「うわあッ!・・・・・・ふわわあああ――――ッッ!!」
(ああッ!ダメ!声が洩れちゃうぅッ!!)
歪む顔は苦しんでいるようにも見えるが、やはりどこか、いやらしい。
「そうだ!そうやって喚いていろ!お前は地獄に行くのだ、オレ様の手によってな!」
トロトロと愛液が滴り落ちる。体温が上昇していく。
「く・・・く・・・・・・くうッ・・・・・」
「アハハハ!何だ?まだ、叫びを我慢したいのか?」
「く・・・・くだらないんだよ!お前はァッ!!!」
ドロの動きが、止まる。
静寂――――麻貴の荒い息だけが、聞こえてくる。
麻貴に訪れた、一瞬の自由。機会。
今だ!超震動を!!!
掌をドロに・・・・・・触れた!!
 
ドリュウウウウウッッッ!!!
 
「・・・・・・・はくぅッッ!・・・・・・」
ドロが・・・・耳朶の中に・・・・・・・・
「・・・・・五条麻貴・・・・・・・・・・・・・・・」
ドジュルルルルッッ!!!
今度は鼻の中へ。
「ふがふぅッッ!!・・・・・・・・・・ごふぅッッ!!・・・・・・・」
ピクピクと震える麻貴。集中力を殺がれ、超震動が発力できない。
「どうやら、体に刻み込んでやる必要があるようだ・・・敗北の味をな・・・・・・・よかろう、徹底的
に嬲ってやる!!今の言葉を訂正するまでなあ!!」
ドロが一本、ムチのように細く伸びる。回転している。ところどころにコブがある。
ムチがしなる。繁みを貫く槍、その・・・後ろ。
 
ドリュリュリュリュリュリュッッッ!!!!!
 
少女のアナルを、黒い蛇が侵略する!!!
「ふぎゃあああああーーーーーッッッ!!!!!」
「ワハハハアッッ!!人気アイドル様はどんな鳴き声なのかなあ?!ひゃあッーーッはっはは
あッッ!!!」
(あああ―――ッッ!!ドロがッッ!!!体を埋め尽くしてるッ!く、苦しいッ!狂っちゃうよォォ
ッッ!!!)
溺れる者が宙をつかむように、麻貴の両手がジタバタと舞う。
ドロの侵略を防ぎたいのに・・・あらゆる場所が苦しいため、どこに手をやればいいのか、わか
らない。
(ああーーーッッッ!!コブがッ!おしりの中で動いてるぅぅッ!!やめてッ!動かないでェッ!
おしりがビクビクしちゃうッ!・・・ああ〜〜・・・私、変になっちゃうよォ〜〜・・・・)
全身を覆ったドロが、麻貴のあらゆる部分を汚していく・・・
(耳の中に、ドロが・・・・誰か、とってェェ〜〜・・・・ああんッ!くすぐったい・・・・・鼻にも・・・・
息・・・・苦しい・・・・・・気持ち悪い・・・・・ああッ!・・・・・・・動かないで!・・・・取って・・・誰か・・・・
生暖かい・・・・・・・おかしくなる・・・・)
「どうだあ?!五条麻貴?気持ち良かろうがァ〜〜?これでもまだ、私のことをくだらないと言
うかッ?」
「・・・・こんなことしか・・・・できないんでしょ?・・・・くッ!・・・ハアハア・・・・・やっぱ、くだらない
わ!!」
「ならば、こうだあッッ!!!」
ドロの棒が熱い蜜壷を、グルングルンと掻き回す!!
「ふわあッッ!!ふわわわああああーーーーッッッ!!!」
思わず棒を掴むが、粘液質のそれを止められるはずもない。
(熱いッ!壊れちゃうッ!!ダメェェ〜〜ッッ!!私、もう、ダメェッ!!ば・・爆発しちゃうう〜〜
ッッ!!!)
「ふああああーーーーッッッ!!!やめてェェッッ―――ッッ!!お願いッ!抜いてェェッ――
―ッッ!!」
「ウワハハハハッ!!いい悲鳴だ!壊れてしまえッ、五条麻貴!!」
「ふぎゃああああああーーーーーーッッッ!!!」
身体中が燃えるようだ。高まる熱い波が、もう抑えきれない、すぐそこまで来ている。麻貴に、
戦士としてのプライドなどとうに消し飛んでいた。
「いやああああ〜〜〜−−−ッッ!!!こんなッ!こんなあッッ!!」
蜜壷が溢れる。視界が白い。
ピチャアドチュルビチャビチャアビチャア・・・・
「はふうッ!はふうッ!お願いィィ〜〜〜ッ・・・・もう・・・やめてェェェ〜〜〜〜ッッ・・・・・・」
「ククク・・・トドメだ、麻貴。イク時の顔をよ〜〜く拝ませてもらおうかなあ・・・」
ドロがうなだれた麻貴の顔を上げる。
くっきりとした目鼻立ち・・・厚めの桃色の唇・・・・その瞳から、涙が一筋、零れた・・・・・
 
ギュリュリュリュリュリュリュッッッッ!!!
 
「わああああああああああーーーーーッッッ!!!!!」
内圧が、破裂した。
ブシュウウッッ!
花園から滝が溢れる。
ドクドクドクドクドク・・・・・・
「ハッーーーッハハッハッハ!イッた!イッたぞ!そりゃあ、まだまだだアッ!!」
こぼれ落ちていく麻貴の愛液を撒き散らして、棒がさらに回転を速める。
「いいィィッッ?!!そ・・・そんなあッ・・・・や・・やめ・・・・」
「第二弾だ、ワーーーハッハッハッハッ!!」
新たな昂ぶりが、泉の底から湧き上がる・・・・
「ひゃああああーーーーッッ!!!も、もうッ!やめてェェッーーッ!!許してェェ―――ッ
ッ!!」
胸が揉みしだかれる。秘所が掻き回される。アナルが貪られる。耳が責められる。鼻が犯され
る。性感帯が撫でられる。肌が舐められる・・・・・
五条麻貴というオモチャが、弄ばれていく・・・・・
「あふうッッ!!ふぎゃああああーーーッッ!!・・・・壊される・・・アタシ、壊されちゃうよォォー
ーーーッッ!!」
「ヒャアハハハハハア!!いい鳴き声だ、この虫けらは!」
ズジュルルルジュルジュルジュル・・・・・
「ぎゃふうッッ!!狂っちゃうッ!!おかしくなっちゃうッ!!」
「ハハハハハ!我が責めの前に、どの女も愛液を枯らして、発狂していったわ!『イリミネータ
ー』様は、どうかなあ?」
絶叫が轟く。ヨダレが乱れ飛ぶ。
「うひゃあああーーッッ!!なッなんでッ?!どうしてこんな・・・・こんな酷いこと、するのォォッー
ーッ?!」
「どうして?楽しいからさ!」
「あああああーーーッッ!!・・・・さ、最低ッッ!最低だよ、あんたッ!!うぎゃああああーーー
ーーッッッ!!!!」
「ハハハハハ!その最低の男に犯され、哀願して死んでいくのだ、お前は!!わっはっはっは
っはっはっ!!」
2度目の爆発が、きた。
涙とヨダレと汗で・・・・・・・麻貴の、雑誌のグラビアでお馴染みの顔は、液体にまみれている。
「うくっ!・・・・・・くふッ!・・・・・・・くッ!・・・・・」
それしかできない、というようにピクリピクリと痙攣する、麻貴。
悦楽地獄に落とされ、もはや、その身体は自由に動かない・・・
一瞬、ほんの一瞬でいいから、刺激が止めば、超震動を発射できるのに・・・・・・
「さあーーて、まだまだだぞ!泣け!喚け!五条麻貴!」
ズリュリュリュリュ・・・・・・
「!!!はぐううッッッ!!・・・・・が・・あああ・・・・・・」
凄惨な責めの前に、麻貴の全身は過敏となり、性感帯が剥き出しにされた状態になっていた。
息を乳首にかけただけで、悶えてしまう。
ドロは容赦なく、少女を擦り、掻き混ぜ、貫く。
「いやあああああーーーーッッッ!!誰かッ!誰か助けてェェッッーーーーッッ!!!うぎゃあ
ああ・・・ああああ・・・・・・」
魂切る悲鳴が、断末魔へと変わっていく・・・・・
「あ・・あああああああ・あ・・・・ダメ・・・・アタシ・・・・・もうダメェェ〜〜〜〜ッッ・・・・・・・ダメェェェ
〜〜〜〜〜ッッ・・・・・!!」
苦痛と悦楽と屈辱と絶望と。
歪んだ麻貴の顔を、大きな瞳から溢れる涙が、彩っていく。
勝負は決しつつあった。
 
 
 
 3、
 
一体、何をされているのか、それすらわからなくなってきた。
わかっているのは、心は嫌がっているのに肉体は気持ち良く感じていること、全身へ送られる
快感のあまりの量に、頭がおかしくなりかけていること、そして、敵は私がそうなることを望んで
いること・・・・・
五条麻貴は官能の波にさらわれそうな意識を、か細い綱で必死に繋ぎ止める。だが、そんな
努力も無駄になるかもしれない。ドロにジャマされてないハズの視界が、もはや濁ってよく見え
ない。
もう、何度イカされたのだろう。
二ケタまでは数えていたが、数を数えるという行為すら、負担になってきて、それからはどうで
もよくなった。思考のストックがあるならば、少しでも愛撫に耐える方向に使いたい。
女として完成していない麻貴のセンサーを、男・ヒラタのドロの責めは、モード変更してしまっ
た。
どこを触れられても、感じる。
いままで繋がっていなかった回路が、強制的に繋げられた。
特に3つの蕾、胸と下腹部の淡い密林にあるそれらは、アンテナレベルが抜群に高い。
水分が乾いていく、その程度の感覚で、ビリビリと電気が走ってしまう。
そこをドロは、全力で弄ぶ。麻貴が猫のように声をあげ、痙攣によって本音を吐き出すまでに。
イカされるたび、無意識に使っている下半身の筋肉が、攣りそうになる・・・・・鉛がそこに埋め
込まれたようだ。
「フフフフフ・・・やはりお前は一級品だ。何度食っても飽きん。どうだ?まだ、生意気な口は叩
けるのか?」
ドロが茶色の髪を引っ張り、麻貴の顔を上向かせる。瞳いっぱいに溜まった涙が耳に向かって
流れ、半開きになった口からは、ハアハアと荒い吐息が機関銃となって放たれる。
「ほら、くだらないとか、もう一回言ってみろよ、ん?」
ドロが蠢動する。終わらない、切ない時間が始まった。
「ふああッッ!!・・・・・・・・あふぅッ!・・・・・いやああーーッッ!!・・・・・」
一瞬。まばたきをするそんな一瞬でもいい。集中する時間さえあれば、油断しきったこの敵に、
超震動を叩きこめるのに・・・・・
だが、麻貴を嬲ること、それ自体を生き甲斐にしているかのような男は、そんな希望ごと16歳
の少女を握り潰す。
「私はくだらないか?!どうなんだ?!言ってみろ!!」
意地とか負けん気の強さとかプライドとか・・・そんなものは絶対的な暴力の前には、なんの役
にも立たないことを、麻貴は知った。悔しさと怒りは、悦楽と敗北感に丸々と呑み込まれる。
「・・・・・・・・・・くだらなく・・・・・・・ない・・・・・・です・・・・・・・・」
全神経を集中させて、ようやくヒラタはその声を拾う。
「ワハハハハハ!いいコだ!よし、褒美をオジさんがあげよう!」
ドロの愛撫がクライマックスに向け、スピードを増す。
「ひゃあああああッッーーーーッッ!!!もう・・・いいィッッ!!・・・お願いだから、もうやめてェ
ッッ!!!私、死んじゃうよォォッーーーッッ!!!!!」
メチャメチャにかぶりを振る麻貴。大きく開いた瞳から水晶が乱れ飛ぶ。口からは白い気泡。
「ウワハハハ!『イリミネーター』様ともあろうものが、『淫魔』に哀願しおるわッ!!安心しろ、
もうすぐで発狂する。肉人形となれば何も感じなくなるだろう」
「きゃあああああーーーーッッッ!!!あ・・・あ・・・・あ・・・・・」
カッと開いた眼は、何も写していない。感覚神経のほとんどは痺れるような快感に占拠されて
いる。
「五条麻貴、オレの左手を奪ったことを忘れてはいまいだろうな?会社でなんと言い訳すれば
いいやら・・・」
白い視界の中で、ヒラタの顔の形をしたドロが近づいてくる。舌の部分が。伸びる。
「とどめだ。私好みの厚めの唇・・・・いただきま〜す♪」
ドロの接吻。
喘ぐ口は侵入者を容易く受け入れ、口腔内を汚されていく。
身体中の穴という穴から、ドロが侵入し、五条麻貴を乗っ取る。
唇を奪われたことは、麻貴にとって、下の口を奪われたことよりショックなことであった。そこは
大切な人にあげると決めていたから。
だが・・・それ以上に・・・・・・・
口、耳、鼻、秘所、そしてアナル。
波打つドロが、麻貴の全身を覆い尽くし、アイドルの彫像を完成させる。
5つの穴を責められて耐えるだけの許容量は、麻貴には持ち合わせていなかった。
ゴボゴボゴボゴボゴボ・・・・・・・
あらゆる液体が流れ落ちる。止まらない!
(ク・ル・ウッッーーッ!!・・・・・・コ・ワ・・・・レ・・・・・ル・・・・・・ッッ!!)
もがく腕が、何も掴めずに宙空を舞う。
「ハハハハハ!これで終わりだ、五条麻貴!!!」
「!!!ッッーーーーッッ!!!・・・・・!!!!!!」
失神と蘇生が繰り返される!水滴の曲線に似た丸みを帯びた二つの膨らみ・・・麻貴を女とし
て象徴せしめるそれが、津波のようにビクンビクンと震え続ける!涙とヨダレと愛液と・・・さまざ
まな分泌液が潤滑油となって、磔の麻貴を濡らしていく!
ビク!ビクン!ビクビクビクビクビクビクビクッッ!!!
「ウワハハハハハ!!うまい!!最高にうまいぞ!おまえの肉が悦んでいるのがわかるッ!
食らい尽くしてくれるッ!!」
(ひゃぎいいいィィィーーーッッッ!!!ひ・・・ひぬぅぅッッーーッッ!!ひいいいイイイィィッッー
ーーッッッ!!!!!)
ビククビククビクビクビクビクビクビクビクビクビクビク・・・・・
快感に揺り動かされる肉体が限界を迎えている。あちこちで精神が爆発し始めた。白く、白くな
っていく・・・・・・・・
「そろそろ、トドメといくか! 死ねいッ!! 『イリミネーター』五条麻貴ッッ!!!」
秘裂を割け入ったドロの肉棒が高速で回転し、激しく麻貴の洞窟を突き上げる。
『淫魔』は女性の精を好み、吸い尽くす。衰弱の挙句に待っているものは、死だ。人外の異能
力と残虐性とを持つ淫魔は、人間の女性を惨殺するのが常だが、死因の8割は陵辱死ともい
うべきものだった。
抵抗する者ほど、芳醇な味わいを増すといわれる陵辱の味・・・本来『淫魔』を倒すべき『イリミ
ネーター』、その最高のご馳走を食らう喜びに、ヒラタの脳内が歓喜に震える。
(しッッ・・・死ぬぅぅぅッッッ―――ッッッ!!!)
「きゃあああああああああああッッッ――――ッッッ!!!!」
全身を包んだドロが、一斉に麻貴の若いながらも成熟した肉体を全力で愛撫する。怒涛となっ
て襲いかかる快感の爆発に、アイドル少女は獣の鳴き声を発した。
「ダッッッ、ダメェェェッッッ〜〜〜〜ッッッ!!! 身体が壊れるぅぅぅッッー――ッッ!!! ふ
ぎゅはああああッッッ〜〜〜ッッッ!!!!」
ブッシュウウウウウウウ―――ッッッ・・・・・・・
敗北の遠吠えに、熱い迸りが噴き出る響きが重なる。
白いキュロットを破る勢いで、股間から放たれた絶頂の噴水。
人間外の存在に串刺しにされたまま、人気アイドルは大量の潮を吹いて果てていた。
ドロに覆われた身体がぐったりとうなだれる。
シュウシュウと、股間から噴出する白泡は、留まることを知らずに垂れ流れ続けている。
「はあーッハッハッハッハ! 食った! 食ってやったぞ、『イリミネーター』を! 五条麻貴、夢
見た通りの最高の味だったぞ!」
人通りのない夜の路地に、狂ったような哄笑がこだまする。
窓際族といっていい、しがない中年サラリーマンの成れの果てが、かつてない歓喜に咆哮す
る。捻じ曲がった欲望。正義の使者ともいうべき存在を抹殺した背徳感が、戦慄するほどの快
感を、ヒラタの背に走らせていた。
うっとりするほどの高揚感。『淫魔』は完全に動きを止めて、勝利の余韻に酔いしれている。
 
ボンッッッ!!!
 
麻貴を覆っていたドロの鎧が弾けとぶ。
霧となって消失していく己の肉体を、『淫魔』ヒラタは茫然とした視線で見送る。
「・・・ぎ・・・ぎゃあああああああああッッッ―――ッッッ??!」
遅れてきた激痛が、叫び声を口から割らせる。
「こ、これはぁアア〜〜ッッ??? なぜだアアアッッ――ッッ??!」
汚泥の中に燃える灼熱の双眸に映ったのは、もはや動かなくなったはずの、白い掌。
快感の渦に溺れ、死に絶えたはずの少女戦士の、必殺の掌。
五条麻貴は、死んではいなかった。
悦楽の海に飲み込まれた肉体。絶頂に達し、精力を搾り取られながらも、若い生命は決して散
ってはいなかったのだ。
そして、待ち焦がれた、一瞬のチャンス。油断したヒラタがくれた一瞬の隙に、麻貴の左の掌
は超震動を発動させていたのだ。
「きッッ、きさまあああああ〜〜〜ッッッ!!!」
黒茶色のゲル状生物が蠢く。肉体の3分の1ほどを失う苦痛のなかで、ヒラタは状況を把握し
ていた。刺客少女が生きていたことを。そして、己を破壊したことを。仕留めそこなった獲物
を、再度地獄に落とすべく、愛撫のドロが整っていく。
だが、それより早く、『排除する者』は、ドロに浮んだ丸い頭部を掴んでいた。
「―――ッッッ!!!」
「滅びろッッ!! 『淫魔』ッッ!!!」
ドロを掴んだ右手が震える。
破裂音が轟いて、茶色い流動体は一瞬にして空中に霧散した。
呆気なくも、華麗なる、少女戦士の必殺の一撃―――それが『淫魔』ヒラタの最期であった。
 
 
 
4、
 
「はあッ、はあッ、はあッ、はあッ!」
月の光が仄かに照らす地上で、ビルの壁際に沿いながら、よろよろと歩を進めるパーカー姿
の少女がいた。
瞳を凝らせば、茶色に汚れたキュロットから生えている肉感的な太股が、ヌラヌラと濡れ光って
いることがわかるであろう。16という若さを象徴するような弾ける肌は付着した泥に汚れ、魔
性の快楽に翻弄された疲労が色濃くテレビで馴染みの顔に張りついている。
五条麻貴、職業アイドル歌手。
そして裏のもうひとつの顔、『イリミネーター』として暗躍する少女。
汚泥による強姦という屈辱に耐え、数度に渡る絶頂と引き換えに『淫魔』を殲滅した異能戦士
の体力は激しく消耗していた。『淫魔』との性交渉は人間にとっては、生命を削られているも同
意。ほんの一瞬の隙を突いて、九死に一生を得た麻貴にとっては、いまこうして歩けるだけで
も感謝しなければならなかった。
(は・・・早く家に・・・帰らなきゃ・・・・・・)
『淫魔』が現れるようになって以来、女性が襲われ惨殺される事件が相次いだため、ひとけの
ない夜道を人々が出歩くことは滅多になくなっていた。そのおかげで誰にも遭遇せずにすんで
いるが・・・こんな姿、見せられるわけがない。『イリミネーター』の存在自体トップシークレットで
あるが、それ以上に、アイドルの自分が、こんなはしたない姿を人目に晒すわけにはいかない
という想いの方が、麻貴には強かった。
ひとり暮らしをしているマンションまではあと50mもない。そこまでの距離を、誰にも見つかるこ
となく移動できることを願いながら、麻貴は疲弊しきった足を運ぶ。
 
事態の展開は不意だった。
ひょっこりビルの合間から現れた、サラリーマン風の男。
二十代後半くらいだろうが、七三に分けた髪と黒ブチの眼鏡がいかにも銀行マンっぽい男は、
ずいぶんと落ち着いて見える。急ぎ足で家路に向かっているらしい彼は、麻貴の願いも虚しく、
明らかに襲撃の形跡を残した美少女の存在に気付いて立ち止まる。
 
「君・・・どうしました?」
外見同様、ソフトで落ち着いた物腰の声が尋ねる。
「いや、別に・・・なんでもないです」
「なんでもないってことはないでしょう。身体中汚れているし、それにその歩き方・・・どこか具合
でも悪いんですか?」
革靴を響かせながら、男はツカツカと壁によりかかる麻貴に歩み寄る。
(ちょっと・・・こっちこないでよォ)
平静を装っているものの、吐く息や立ち昇る体臭に、桃色の香りが混ざっていることを麻貴は
よく自覚していた。側に来られたらバレちゃう・・・疲れた肉体を支えてくれる喜びより、乙女の
羞恥心が勝ってしまうのは、思春期の、しかもアイドル少女ともなれば当然といえるかもしれな
い。
 
堅物そうな眼鏡男が、中腰姿勢の麻貴に躊躇なく手を伸ばす。そのくびれた腰回りへと。
風が吼える。
疲労困憊の美少女を、生真面目なサラリーマンが抱きかかえると思えた刹那、闇夜に沈んだ
世界はブレた。
もし目撃者がいたとしても、なにが起こったかはわからなかっただろう。ただ凄まじい速度で、
その空間にやりとりがあったことは感覚で伝わる。
一瞬、わずか一瞬にして、路地裏の風景は一変していた。
優しそうなサラリーマンは、少女から5mほど離れた位置に悠然と仁王立ちしている。
異能のアイドルは、先程までの疲労ぶりが嘘のように立ち上がって構えている。
パーカー姿の少女が右手を突き出す。
掌の中にあったのは、男の黒ブチ眼鏡。次の瞬間、それは塵となって風とともに舞い消えた。
 
「あともう少しだったのに・・・惜しいわ」
ゾッとするほど冷静な口調。そこにいるのはアイドルではなく、『イリミネーター』五条麻貴。
「だまそうとしても無駄よ、『淫魔』。あんたたちの卑しい臭いは、簡単に消せるものじゃないわ」
眼鏡を取られた銀行マンが唇を吊りあがらせる。
獣の笑いだった。
スーツ姿の魔獣が、戦慄を禁じえない笑いを浮べて肩を震わしている。
不意を突いて襲うつもりが、逆に先に仕掛けられた。しかも避けたはずの危険な右手は、間一
髪、お気に入りの眼鏡を奪っていたのだ。少女の見掛けとは裏腹の成熟した実力。スリリング
な興奮とその果てに手に入るはずの馳走の芳香が、新たな『淫魔』を歓喜させている。
「あまりにいい臭いがするものだから・・・つい誘われて来てしまいました」
七三分けの髪の下で、ふたつの眼が赤く光っている。丁寧さを失わない口調が不気味である
が、堅物そうなサラリーマンの正体が『淫魔』であることはもはや明白であった。
「殺気に勘付くのが一呼吸遅れていたら、今ごろ砂にされていましたね・・・恐るべき力です、さ
すがは『イリミネーター』」
「私のことは知ってるんでしょ? あんたも名乗ったら?」
「これは失礼。私の名はソノヤ。東都銀行に勤めています。こう見えても成績はいいほうでして
ね・・・おっと、そんなことはどうでもいいのでした。もちろん君のことはテレビで拝見してますよ、
五条麻貴くん」
あくまで柔らかな物腰で、日本でも有数の大銀行に勤める男は言葉を繋げる。
「そして、先程の裏の顔も、しっかりと見せていただきました」
「フン。私の【ちから】を見たからって、勝てるつもりなの? それともさっきの闘いで、すっかり
体力をなくしたとでも思っているのかしら?」
ドライとよく評される麻貴の口調は、自信と矜持とで彩られている。異次元生命体を屠る使命を
託された、秘密の超能力集団。その一員に名を連ねた少女は、己の強さと勝利を微塵も疑っ
てはいなかった。先のドロ人間との死闘でも、あわやの窮地まで追い込まれながらも、最後に
生き残るのは自分だと信じていた。
ドロに包まれ、哀れな嬌声を叫ぶ麻貴を影で見ながら、このソノヤという『淫魔』はほくそえんで
いたことだろう。辛うじて勝利したものの、疲弊しきった排除戦士を見て、さぞ心踊らせたに違
いない。だが。
(お生憎さま! 私はまだ、十分闘えるのよ!)
体力と精力の消耗は激しいものの、"超震動"はまだどれだけでも放てる。
そして、"超震動"がある以上、麻貴に恐れるものなどなにもない。
 
「ッッ??」
スーツ姿の『淫魔』が刻んだ表情に、アイドル戦士は動揺する。
愉悦と余裕、そしてかすかな憐憫。
これから命を賭けて闘う敵の、あまりに相応しくない容貌が、麻貴に不審を抱かせる。
(なに? どういうことなの?? その顔はまるで・・・)
「いやはや、困ったものです」
「なッ・・・なんのつもりッ?! 一体どういうつもりなのッ?!」
「自分が負けたことに、まだ気付かないのですか? イリミネーターくん」
ゾクリ
戦慄が白い背筋を駆け登る。
反射的に、麻貴は己の左手に視線を飛ばす。
滑らかな肌を光らせていた左手は、灰色の石となって固まっていた。
「うあッ・・・?!! ウアアアアアアアア―――ッッッ!!!」
「ご自慢の手を失った気分はいかがですか?!」
衝撃に揺れる少女に、スーツ姿が殺到する。
掌を広げ、右手で迎撃する麻貴。戦士の性か、壮絶なショックに叩きのめされながらも、少女
は闘いに反応していた。
だが、その攻撃はあまりに単調な軌跡を描く。
十二分に麻貴のカウンターを予期していた淫魔が、飛んでくる右腕の手首を掴む。
一瞬にして、少女戦士の右手は石化した。
「いやああああああああ―――ッッッ!!!」
頼りにする必殺の武器を、灰色の鉱物に変えられたアイドル戦士は、固まった両手を眼前に
見詰めて絶叫する。
牙を引きぬかれた雌獣。汗を噴き出し、自我崩壊寸前の少女の両肩を掴むや、ソノヤは一気
にビルの壁に叩きつける。
石化した肩はビルと一体化し、麻貴の張りのある肢体は、灰色の壁に縫いつけられた。
 
「触れたものを瞬時に破壊する・・・私と君の能力は似通っているようですね。もっとも能力をバ
ラしている以上、君が私に勝つのは難しかったわけですが」
首、腕、腹、太股、足・・・次々に掴んでは壁に押しつけ、石になった麻貴の肉体の部位を張り
つけていく銀行マン。
顔と胸と下腹部と、生身の部分をそこだけ残して、壁に大の字に張りつけられたアイドルの石
像モニュメントは、まもなく完成した。
「うくあ・・・・・・うえああァ・・・・・・ふぇあァァ・・・・・・」
「無駄ですよ。君はもうお終いだ。無理に超震動を発動すれば、石になった腕ごと木っ端微塵
になるだけです。美しい姿のまま、永遠にこの場に固まるがいい」
いうなり男は喘ぎ続ける麻貴の厚めの唇に吸いつく。両手は柔らかな弾力を残したままの胸の
膨らみを包み、優しくこね回し始めた。3つの部分をあえて固めなかった淫魔の意図が、石像
化したアイドル戦士に伝わってくる。
「ひゃふうう・・・・・・ひいいいイイイ〜〜〜ッッッ!!!」
「ふふふ・・・他の部位の神経を失い、意識を集中させられた箇所を嬲られるのはキクでしょ
う? 通常の何倍も感じているはずです。それ」
パーカーを破られ、剥き出された桃色の頂きを男の舌が舐めあげる。
「ぎゃひいいいいイイイイ――――ッッッ!!!!」
壮絶な魔悦の怒涛に、麻貴の意識が弾け飛ばされていく。仰け反った頭が、コンクリートの壁
にぶつかり鈍い音をたてる。
「ははははは! 楽しませてもらいますよ、五条麻貴くん!」
胸が揉まれる、秘園が擦られる、舌が絡め取られる。乳首がこねられ、膣が抉られ、クリトリス
が摩擦される。口腔が汚され、乳房が潰され、秘所が破壊されていく・・・
「ふぎゃあああああ〜〜〜ッッッ!!! はあああッッ―――ッッッ!!! やめへえええッッ
〜〜ッッ!! ゆるひへええッッ――ッッ!! ひくッッ、ひっひゃふううぅぅ〜〜〜ッッ!!! 
はびゃああああッッ―――ッッッ!!!」
地獄の宴。
泣き喚き、愉悦の波にさらわれた少女が、雌の嬌声を叫び続ける。涎と泡が口から溢れ、滝
のような勢いで股間から愛蜜と飛沫が噴射する。白目を剥いた少女の頭が壁にぶつかるた
び、ゴンゴンと無情な響きがこだまする。
 
ボゴッッ・・・
 
死への快楽に耐え切れなくなった麻貴が、"超震動"を放った瞬間、ソノヤの言葉通り、少女の
石化した両腕はボロボロになって砕け散った。
「とどめです。死になさい、イリミネーター五条麻貴くん」
 
ブッシュウウウウウウウ・・・
 
3度目の絶頂を迎え、夥しい量の潮を吹いた瞬間、淫魔の右手は放水する股間に突き入れら
れた。
そのまま、愛水ごと白い下腹部を石に変えていく。
 
ビキビキビキビキ・・・
 
「うぎゃああああッッッッ・・・ぎゃあああああああッッッ―――ッッッ!!!」
秘裂が石となり、腹部が灰色になり、柔らかな襞も、膣の内部も鉱物となっていく。石化の波
は、激痛に揺れる胸へ、悶絶する顔へ伝わり、遂に少女戦士の全身を石像にして壁に一体化
させる。
(ミ・・・ミン・・・・・・ナ・・・・・・)
死にゆく意識の中で、麻貴は最期の思念を練った。
(ワタシ・・・ハ・・・・・・モウ・・・・・・ダメ・・・・・・・・セ・・・メテ・・・・・・コノテキ・・・ノ・・・テガカ
リ・・・・・・・デモ・・・・・・・)
 
股間に突き入れていた右手を、スーツ姿の淫魔が勢い良く引き抜く。
膣内で剣と化した愛液の塊が、アイドルの石像を内側から打ち破って体外に飛び出てくる。
麻貴の石像の鳩尾から股間にかけてが、ガラガラと砕け散って崩れ落ちる。
眉と瞳を垂れ下げ、大きく口を開いたまま硬直した少女の顔――
その苦痛と絶望に歪んだ表情を、満足げに見詰めながら、エリート銀行マンは呟いた。
「事切れましたか。実に楽しい時間でした。ごちそうさま♪」
崩れた石の粉塵と、少女の愛液の雫が散らばる死地を、振り返ることなく男は立ち去っていっ
た。
もはや動くものは何もなかった。
 
 
 
東京のとある路地裏で発見された石像は、道行く人々の好奇の視線を集めずにはいられなか
った。
昨日までは確かになかったはずのそれは、ビルの壁と一体化しており、一夜でできたにしては
あまりに精巧にできていた。
両腕と股間とが崩れ落ちた美少女の石像。
大の字で磔にされたように見えるその像は、テレビで見かけるアイドル少女にそっくりの顔をし
ていた。
だが、そこに浮ぶ表情は・・・
快楽に咽ぶような、苦痛に悶えるような、恐怖に歪むような。
地獄の業火に焼かれているような、凄惨な負の表情は、見る者の心に冷たい刃を突き立て
た。
 
その翌日。
突如現れた石像は、幻のように消失していた。
美少女アイドル・五条麻貴が、謎の消息不明になっていることが報道されたのは、同じ日のこ
とであった。
 
 
「イリミネーター 五条麻貴編」 〜完〜
 


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